銀の砂浜にて

――すべては歯車と熱の問題だ。エントロピー法則か、あるいはもっと単純なこと

淡いパステルカラーの水面が、間違いのように、どこまでも続く海

そのまんなかの、この小さな島にいるのは、ぼくときみのふたりだけ

ふと見上げれば、そこには涼やかな黄昏の空がある

紅い太陽が東の地平線に沈もうとしているかたわらで、砕けた月は不満足そうに西の宙に漂っていたっけ

 

銀の砂浜の上で、ひとしきり遊びまわったぼくらの頬に、

夕焼け色の風が、優しく、ひとなで

砂の大地のかすかな輝きの波が、ぼくらを包み込むようで、

磯の香りが、なぜかとても甘ったるくて、

ぼくは、きみに、振り返る

 

――すべては歯車と熱の問題だ。ネルンスト定理に、ぼくらは還れないということ

きみは、銀の砂浜に、じっと座りつづけている

その背に向けて、ぼくは声を上げた

無意味だって、もう知っていたのに

 

そろそろ、夜がやってくる時間だ

冷徹で残虐で暴力的な、白い雨の降る、夜が

 

ぼくは、小さな溜息をつくと、

もう二度と、二度と動かないでいる、きみの隣に座って、

ただ、そっと、体を寄せた

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